赤ちゃんの言語学習法【TED:赤ちゃんは語学の天才】

こんにちは、Tamakiです。

今日は小さいお子さんをお持ちの親御さんからあるよくある

「日本語もまだ習得していないのに英語を入れてしまったら混乱するのではないでしょうか。」

というよくある質問に関しての記事です。

パトリシア・クール(Patricia Kuhl)博士のTEDでのプレゼンテーション で詳しく説明しています。

結論から言いますと、

混乱することはないので安心してください。

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目次

バイリンガルキキッズの脳

帰国子女や幼いころから日本語と英語2か国の言語環境がある子どもは、日本語と英語を使い分けます。

例えば外国人の父(母)親とは英語で会話し、日本人の母(父)親とは日本語で話をします。脳の中にある言語中枢の中で、それぞれ言語を司る部分があり、日本語を話すときは、日本語の言語回路を 使い、英語を話すときは英語の言語回路を使うからです。

ヨーロッパなどでは、3か国語を話すなど多言語を一度に使う環境で生活することもあり、日常生活の中で色々な言葉が混ざる場合も多くありますが、問題なくそれぞれの言葉を使い分けています。

娘もバイリンガルに育ちましたが、昔からこの人は英語を話す人だから英語。この人は日本語を話す人だから日本語と使い分けていました。

英語を話すときは英語で考えて英語を話し、日本語を話すときは日本語で考える習慣がついています。

二つの言語の混乱を避けるために脳の中では使わないほうの言語を遮断し、使っている言語に集中した脳の使い方をしているということです。

赤ちゃんの言語学習法【TED:赤ちゃんは語学の天才】

【TED:赤ちゃんは語学の天才】

Patricia Kuhl / The linguistic genius of babies

パトリシア・クール(Patricia Kuhl)博士のTEDでのプレゼンテーションでは、赤ちゃんがどうやって1つの言語を習得していくのかを詳しく解説しています。

10分間の動画ですが、英語育児に関心のある方にとってはとても興味のある内容です。

日本語の文章でも確認することができるので理解しやすいです。

結論からいうと

生後6ヶ月の赤ちゃんは、自分の周りの世界を高度に理解し、 自分の周囲にいる人の話す言葉を聞き、自分が知る必要のある言葉の「統計をとっている」 そして、その統計を取るには、生身の人間の存在が必要である。

言語の習得には臨界期(critical period)がある

横軸は年齢、グラフの中の線は第二言語を習得する能力を表しています。

7歳までの赤ん坊や子どもは天才的ですが、その後、少しつづ能力が低下します。思春期になると圏外です。

私たちの脳は7歳までであれば、母語以外の言語でもスムーズに習得できることができますが、成長するにしたがい、母語に含まれない音は脳がブロックするようになります。大人がどんなに頑張っても英語の発音を習得できなかったり、新しい言語を習得するのに苦労するのはそのためです。

赤ちゃんはどんな言語の音でも聞き分けられる

パトリシア・クール博士 の研究では、赤ん坊が自分の言語で使われている音を学ぶ一番最初の臨界期を研究しています。

世界中の赤ちゃんは、世界市民(citizens of the world)と言えます。すべての言語の音を区別できるのです。

大人は、文化に縛られた聞き手(culture-bound listeners)です。大人は母語の音を聞き分けることはできても、外国語の音は区別できません。

1歳になるまでは世界市民で1歳になるとそうでなくなる(自分が必要な言語を習得する準備にはいるため)とのことです。

具体的な実験の例としてアメリカ人と日本人の赤ちゃんが「r」と「l」の音の区別に関しての結果を発表しています。

英語では 「r」と「l」 を聞き分け区別しますが、日本語では 「r」と「l」 を区別せずに中間の音を使います。

アメリカ人の赤ちゃんも日本人の赤ちゃんも生後6~8か月では違いがみられませんでしたが、その2か月後には驚くべき変化が現れます。アメリカ人の赤ちゃんは 「r」と「l」 を完ぺきに区別しますが、日本人の赤ちゃんは区別しなくなります。

1歳になる頃には、どちらの赤ちゃんも自分の言語を学ぶ準備をしているからです。

赤ちゃんは音の統計をとっている

「r」と「l」 の区別では、 生後6ヶ月から8ヶ月の赤ん坊の能力に差はありません。ところが2ヶ月たち10ヶ月になると、アメリカの赤ちゃんは区別できるのに 、日本の赤ちゃんはだんだんできなくなっていきます。

この2か月の間に赤ちゃんは熱心に周りの人が話す言葉に耳を傾け、話し声を聞きながら統計を取っています。日本語では 「r」と「l」 の区別はしないので 「r」と「l」 の間にある日本語の 「r」 の音が増えてくるからです。

赤ちゃんはこの言語の統計を脳に取り込んで記憶を定着させていきます。

大人になるとこのような統計処理はできないため、言語の習得能力が衰えるのです。大人は、初期に定着させた記憶を頼りに言語を話します。

赤ちゃんは未知の言語の統計セットを手に入れている

 バイリンガルは2つの統計のセットを保持していて 誰と話しているのかに応じて 切り替えていると思われます 。

中国語をまったく聞いたことのないアメリカ人の赤ちゃんに12回に渡って中国語で話しかける実験を行ったところ、母語が中国語の赤ちゃんに劣らぬ良い成績になったのです。

赤ちゃんは 新たな言語に対して 統計処理をするということが分かりました。

 何語であろうと 赤ちゃんは接した言語を統計処理するのです。

統計を取るには生身の人間の存在が必要

赤ちゃんが言語の音を習得する際に人間がどんな役割を果たすかという実験も行いました。

  • 中国語を話す実際の人間が12回にわたって赤ちゃんに中国語で話しかける実験
  • テレビの映像(ビデオ)を使い赤ちゃんに12回に渡って中国語で話しかける実験
  • ター上でテディベアを見せながら、音だけでマンダリンにふれさせる実験

結果は、音だけ聞いた赤ちゃんもビデオを見ていた赤ちゃんもどちらも何も学びませんでした。

赤ちゃんがその言葉の統計を取るためには、生身の人間が必要だということが分かりました。

学習中の赤ちゃんの脳を調べる装置(MEG)と未来の可能性

子どもの脳の反応を見ることができる特別な装置を用いて生後6か月の赤ちゃんに様々な言語を聞かせます。

赤ちゃんが自分の言語の音を聞くと聴覚に関わる部分が光り、次にその周辺の関連のある部分が反応します。

これは、脳の異なる領域を協調させる結合と脳のある部分が別の部分を活性化させる因果性を示すものだと考えます。

子どもの脳の発達に関することが分かるようになる学習障害のある子どもの脳に作用する補助装置の発明や開発など様々な分野での利用が可能になるでしょう。発達障害など一般的な子どもたちとは違う行動をとる子どもたちになどに対しても最適な解決案が出てくるかもしれません。

まとめ

  1. 赤ちゃんは生後10か月くらいまでは、どんな言葉でも聞き分けることができる。
  2. 赤ちゃんは周りの大人の話し言葉の統計を取りながら脳に取り込んで母語の記憶として定着させている。
  3. 1歳の誕生日になる事には、母語の習得の準備にはいるためこの統計をとれるのは10か月くらいまで。
  4. 私たちの脳は、7歳くらいまでは母語以外の言葉でもスムーズに習得することができる。
  5. 音の統計を取るためには、生身の人間が必要
  6. 大人は統計をとれないので母語以外の音を習得するのは難しい。
  7. 最新の脳を調べる装置を利用して学習障害のある子どもたちを助けることができる可能性が広がる。

・私の英語教室の6か月から通える親子クラス出身のお子さんの英語の発音はとてもきれいです。きっとネイティブ講師の話す英語の音を聞きながら統計を取って脳に取り込んでいたのでしょう。

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